まどか☆マギカ第9話でクラスメイトが解いていた,ホワイトボード書かれていた数学の問題.「答えよ」と書かれていたので,答えてみた.

例題

問題

  1. &mimetex(X_1=1);
  2. &mimetex(X_n);のある桁を&mimetex(\alpha);が0ならば&mimetex(\alpha);を1で置き換え,&mimetex(\alpha);が1ならば&mimetex(\alpha);を'10'で置き換える.&mimetex(X_n);の各桁ごとにこのような置き換えを行って得られる自然数を&mimetex(X_{n+1});とする.

問題(1)

問題(2)

解法

問題(1)

&mimetex(X_n);の中の1の数を&mimetex(I_n);,0の数を&mimetex(O_n);と置く.

問題文より

&mimetex(a_n=I_n+O_n);

である.(自明)
規則2より

&mimetex(\left{\begin{array}{l}I_n=I_{n-1}+O_{n-1}\\O_n=I_{n-1}\end{array});

が成り立つ. 今,&mimetex(O_{n-1});を&mimetex(I_n);で置き換えると

&mimetex(\left{\begin{array}{l}I_n=I_{n-1}+I_{n-2}\\O_n=I_{n-1}\end{array});

と変わり,&mimetex(I_n);がフィボナッチ数列と同じになる. &mimetex(I_1=1);,&mimetex(I_2=1);より,

&mimetex(I_n=p_n=\frac{1}{\sqrt{5}}\left\{\left(\frac{1+\sqrt{5}}{2}\right)^n-\left(\frac{1-\sqrt{5}}{2}\right)^n\right\});

となる.よって,

&mimetex(O_n=I_{n-1}=p_{n-1}=\frac{1}{\sqrt{5}}\left\{\left(\frac{1+\sqrt{5}}{2}\right)^{n-1}-\left(\frac{1-\sqrt{5}}{2}\right)^{n-1}\right\});

となる.
ここで,&mimetex(a_n);を書き換えると,フィボナッチ数列の定義より,

&mimetex(a_n=I_n+O_n=p_n+p_{n-1}=p_{n+1});

となる.よって

&mimetex(a_n=p_{n+1}=\frac{1}{\sqrt{5}}\left\{\left(\frac{1+\sqrt{5}}{2}\right)^{n+1}-\left(\frac{1-\sqrt{5}}{2}\right)^{n+1}\right\});

となる.

問題(2)

&mimetex(b_n);とフィボナッチ数列&mimetex(p_n);をいくつか書いてみる

n&mimetex(b_n);&mimetex(p_n);&mimetex(X_n);
1011
20110
312101
41310110
53510110101
6481011010110110
7813101101011011010110101

各&mimetex(X_n);は必ず1から始まり,&mimetex(X_{n-1});の後ろに&mimetex(X_{n-2});をつなげた形になっている.

また,先頭が必ず1であるため,&mimetex(X_{n-1});の最後が0の場合は,'01'の数がさらに1つ増える.規則より,最後の数字は0と1が交互に現れる.

よって,次式が言える

&mimetex(b_n=\left\{\begin{array}{lcl}b_{n-1}+b_{n-2}+1&:&n=odd\\b_{n-1}+b_{n-2}&:&else\end{array}); ただし&mimetex((n\ge3));

ここで,上記の式をまとめるために,数列&mimetex(c_n);を導入する.

&mimetex(c_n=\left\{\begin{array}{ccl}1&:&n=odd\\0&:&else\end{array});

これにより,&mimetex(b_n);は次式で表される.

&mimetex(b_n=b_{n-1}+b_{n-2}+c_n); ただし&mimetex((n\ge3));

一般項

&mimetex(b_n);と&mimetex(P_n);を一つズラして表をつくってみる.

n&mimetex(b_n);&mimetex(p_{n-1});&mimetex(X_n);
10-1
20110
311101
41210110
53310110101
6451011010110110
788101101011011010110101

表を眺めると,&mimetex(b_n);の一般項として,次の式が浮かぶ.

&mimetex(b_n=\left\{\begin{array}{lcl}p_{n-1}-1&:&n=even\\p_{n-1}&:&else\end{array}); ただし&mimetex((n\ge2));

ここで&mimetex(c_n);を使ってさらに完結にし,

&mimetex(b_n=p_{n-1}-1+c_n); ただし&mimetex((n\ge2));

と表記する.さらに&mimetex(d_n=1-c_n);と定義して,

&mimetex(b_n=p_{n-1}-d_n); ただし&mimetex((n\ge2));

と仮定する.

n=1の時

&mimetex(b_1=0);(定義)

n=2の時

&mimetex(b_2=p_1-d_2=1-(1-c_n)=1-1+0=0);(成り立つ)

n=3の時

&mimetex(b_3=p_2-d_3=1-(1-c_n)=1-1+1=1);(成り立つ)

nが成立するときのn+1

&mimetex(b_n=p_{n-1}-d_n);かつ&mimetex(b_{n-1}=p_{n-2}-d_{n-1});の時,&mimetex(b_{n+1});は定義より以下のように表せる

&mimetex(b_{n+1}=(b_n)+(b_{n-1})+c_{n+1}=(p_{n-1}-d_n)+(p_{n-2}-d_{n-1})+c_{n+1});

&mimetex(=(p_{n-1}+p_{n-2})+(-d_n-d_{n-1}+c_{n+1})=p_n+(-d_n-d_{n-1}+c_{n+1}));

ここで,定義より,&mimetex(-d_n-d_{n-1}=-1);となるため,

&mimetex(b_{n+1}=p_n+(-d_n-d_{n-1}+c_{n+1})=p_n+(-1+c_{n+1}));

となる.また,&mimetex(d_n=1-c_n);であるため,

&mimetex(b_{n+1}=p_n+(-1+c_{n+1})=p_n+(-d_{n+1})=p_n-d_{n+1});

となる.この式は&mimetex(b_n=p_{n-1}-d_n); の&mimetex(n);を&mimetex(n+1);で置き換えた物である. よって,数学的帰納法により証明された.

&mimetex(b_n=p_{n-1}-d_n=\frac{1}{\sqrt{5}}\left\{\left(\frac{1+\sqrt{5}}{2}\right)^{n-1}-\left(\frac{1-\sqrt{5}}{2}\right)^{n-1}\right\}-d_n);

ただし

&mimetex(b_n=p_{n-1}-d_n); &mimetex((n\ge2));

である.

コメント

見滝原中学校の授業で出題されていた1992年の東大入試問題である.

ジャンル:数学


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Last-modified: 2011-03-28 (月) 17:39:24