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スマートフォンを契約するにあたり,意味不明な言葉が並んでいて困ることはありませんか? SPモード,LTE,3G回線,パケット定額,WiMAX,モバイルルータ,テザリング,クロッシィ. ちゃんとわからずに利用していて,「べらぼうな値段を請求されてる訳でも無いし,いいか」と理解を丸投げしていたりしませんか?
そこら辺について,仕組みを説明するページです.
インターネットのすごいところは,その経路がわからなくても,宛先だけしっかり指定すればデータのやり取りができるということです. ココらへんはTCPというプロトコルでIPを指定した通信をすることが原理な訳です. ただ,インターネットそのものを理解しようとすると,話の収集が付かなくなるので,今回は,「通信相手」がいて,通信相手との「通信経路」自体はよく分からない,だけども「ちゃんと通信できる」というのが,今回のキーポイントです.
スマートフォンはある意味小さなコンピュータです. このあたりをよく理解している人は,そっちに当てはめて説明した方が分り易いかもしれません.
<後日追記予定>
さて,ここで唐突に水道管モデルを導入します. 水道管はリアルな水道管の話です.水道局から各家庭まで惹かれていて,途中の経路は分からないけれど,とりあえずひねれば水道局から自宅の蛇口まで水が届くというあれです. この「経路はわからない」けれど,「水道局」から「水が届く」という仕組みはとても重要です.
<ここに水道局と蛇口の図を載せる>
何故ならば,この仕組はインターネットのTCPと非常によく似ているからです.
あなたが,スマートフォンで動画を見るとしましょう. その場合,動画配信サイトとスマートフォンの間で通信,つまりデータのやり取りが行われます. この際,動画データがインターネットを経由してあなたのスマートフォンまで届く訳です. もちろん,どんなサーバを経由したかは分かりません.しかし,スマートフォンまで動画データが届くので,あなたは寝ながら動画を見ることができるわけです.
<水道局と蛇口の図に合わせて,動画サイトサーバとスマートフォンの図を載せる>
動画も,分解すれば,0と1の集合です.ただし,最近は動画やゲームなど,インターネットを流れるデータ量も格段に増えました. こう見ると,0と1なんて水分子ぐらい小さいものです.*1 なので,インターネットでデータを送ることと,水道管で水を送ることは非常に近い特性があるのです. おそらく,水道管でイメージした方が分かり易いと思うので,以降水道管で説明をします.
さて,配信サイトの動画を見る場合,以下のようにデータが流れます.
<配信サーバ→インターネット→携帯電話電波基地局→スマートフォン>
ここでは,屋外で通常に利用している場合を想定して記述しています. 実際には,この経路が様々に変わる場合がありうる訳ですが,基本的にスマートフォンはこのような経路で通信を行います.
さて,ちょっと前は,インターネットでは通信経路がわからないと書きましたが,実はケータイ電話である以上,直近の通信は電波で通信を行うわけです. これは如実に携帯電話会社さんのお世話になるところです.
というわけで,インターネットでは通信経路は不明と言いながらも,一つだけ通信経路が分かってる部分がある訳です. なので,そこを書き分けると,前述の図のように基地局を堺に経路が不明な部分と経路が明確な部分に別れる訳です.
携帯電話を利用する以上,最近はデータ通信を避けて通る訳には行きません. しかし,もともと電話とは「通話」するための物だった訳ですから,元々「音声通話」のための回線の上に「データ通信」をするための仕組みが乗ってるわけです. というわけで,実は,基地局と携帯電話の間には水道管が2段階で通ってる訳です.
<基地局とケータイの間の水道管に2本の細いくだが流れてる絵>
音声通話のための電波と,データ通信のためのオプションの形でこの水道管は二重構造になっています*2. さて,実はここでデータ通信をするための仕組みがオプションで申し込まないと行けない訳です. 実は,このオプションを利用するため契約がdocomoで言うところの「SPモード」「iモード」「moperaU」,auで言うところの「IS NET コース」¬e{au-ISNET-course:参考:IS NET コース | 料金プラン | au, 2012-08-23閲覧};,softbankで言うところの「S!ベーシックパック」¬e{softbank-basic-pack:参考:SoftBank スマートフォン:料金・割引 | ソフトバンクモバイル, 2012-08-23閲覧};と呼ばれるオプションです.
実はスマートフォンは音声通信だけの契約だと,通信が一切できません*3. このデータ通信を行うために上記のオプションを契約する必要がある訳です.
docomoに限って言うと*4,このオプションは端末によって縛りがあります. スマートフォン達は,実は「iモード」で通信ができません.「moperaU」か「SPモード」を利用する必要があります.docomoが苦肉の策で「並列で契約可能」としていたのはこの辺りが原因で,スマートフォン用の通信経路とガラケー用の通信経路は別々だったため,ガラケーからスマートフォンに移行する際に二重契約を勧められたりした*5.また,LTE端末はdocomoの方針でSPモードとしか契約できません.
せっかくなのでここまで書きたい!LTEとは,Long Term Evolution¬e{LTE-wp:参考:Long Term Evolution - Wikipedia, 2012-08-23閲覧};の略です.WiMAXはWorldwide Interoperability for Microwave Access¬e{WiMAX-wp:参考:WiMAX - Wikipedia 2012-08-23閲覧};の略です. これが先ほどのモデルで言うところの「水道管」を表します. 携帯電話会社は数百万人のユーザを抱えています.そのユーザ全員に対して電波を割り当てることはできません. 結果,データ通信をするためには,同じ電波を何人ものユーザで共用する必要があります.
<ここで基地局と電波の中を何本もの通信路がある図を載せる>
ここ最近*6やたらと「LTE」とか「WiMAX」なんて文字や謳い文句をテレビCMや町中の広告で見かけると思います. 実はこの裏側にはスマートフォン急増による通信路の逼迫状況があります. 前述のように,電波の通信路は何人ものユーザで共用しています.今まではガラケーだけだったので,このデータ通信量は大した事なかったのですが,スマートフォンはガラケーに比べて大容量のデータを取り扱います. 水道管に例えると,数人で使う程度なら問題なかったのに,そこに数百人ものユーザがぶら下がった状態になっています. 結果,この水道管の中を流れる水量(=データ量)が増えてしまい,水道管の太さが足りなくなってしまいました.
よく,安いスポーツジムのシャワーなんかを利用すると,隣の人が蛇口をひねった途端に水の出が悪くなる貧弱なシャワーがあったりしますが,あんな状態に今の携帯電話各社が追い込まれています. 末端のユーザが欲しいデータ量に対して,それを流す電波の容量が足りていない訳です.
<逼迫してる図を載せる>
さて,ここで何故LTEやWiMAXが出てくるかというと,こちらは次世代通信規格,通称4G*7なんて言われてますが,こちらは電波の効率が良く,こちらで通信する分にはまだまだ水道管に余裕がある状態です. 従来の3G電波での容量は,現状の需要に対して頭打ちになり,やがて利用者の満足度に通じます. それを避けるために,docomoなんかはLTEでの割引プランやdocomo WiFi¬e{docomo-wifi:参考:http://www.nttdocomo.co.jp/service/data/docomo_wifi/};の月額使用料無料なんかのキャンペーンを打ってる訳です¬e{wifi-after:Wi-Fiを使うと電波が逼迫しない理由の解説については後日追記予定};. 特にdocomoなんかはテザリング¬e{tethering-after:テザリングの解説については後日追記予定};や利用端末をdocomoに制限しないなどの大盤振舞¬e{discount-after:何故テザリング¬e{tethering-after};や利用端末をdocomoに制限しないことが大盤振舞になるのかは後日追記予定};をしてまで,利用者をLTEに誘導したい思惑が良く見えます*8. ケータイキャリア的には嬉しい悲鳴でしょうか.