まどか☆マギカ第10話でホワイトボードに一瞬だけ表れる数学の問題.「証明してください」と書かれていたので,証明してみた.

問題

pは素数,nは任意の自然数とします.
(1+n)^p -n^p -1pで割り切れることを証明してください.

証明

まず展開する.

(1+n)^p -n^p -1= ({}_pC_01^p + {}_pC_1n + \ldots + {}_pC_{p-1}n^{p-1} + {}_pC_pn^p) \quad - n^p \quad - 1

簡単に整理すると,

(1+n)^p -n^p -1= (1 + {}_pC_1n + \ldots + {}_pC_{p-1}n^{p-1} + n^p) \quad - n^p \quad - 1 = {}_pC_1n + \ldots + {}_pC_{p-1}n^{p-1}

ここで,各項を総和を用いて表すと,

{}_pC_1n + \ldots + {}_pC_{p-1}n^{p-1} =\sum^{p-1}_{k=1}\left({}_pC_k1^{p-k}n^{k}\right) =\sum^{p-1}_{k=1}\left({}_pC_kn^{k}\right)

となる.{}_pC_kn^{k}=pm(mは任意の自然数)と書き換えられれば(つまりpで割り切れれば),命題が証明できる.

今,{}_pC_kn^{k}を展開すると,

{}_pC_kn^{k}=\frac{p!}{(p-k)!}\frac{1}{k!}n^k
(ただし(k \ge 1pは素数)

となる.ここでk \ge 1より,分母にpが現れない.
pは問題文より素数であるため,分子のpは約分されることはない.よって,

{}_pC_kn^{k}=pm
(ただしpは素数,mは任意の素数)

これにより,命題が証明された.Q.E.D.

解法2

こちらはあまり数式ばっかり使わない証明方法

試しに,(1+n)^p -n^p -1を少し手で展開してみると,以下のようになる.*1

\begin{array}{crlllllll}p=1:&1&+n&&&&&-n&-1\\p=2:&1&+2n&+n^2&&&&-n^2&-1\\p=3:&1&+3n&+3n^2&+n^3&&&-n^3&-1\\p=4:&1&+4n&+6n^2&+4n^3&+n^4&&-n^4&-1\\p=5:&1&+5n&+10n^2&+10n^3&+5n^4&+n^5&-n^5&-1\\\end{array}

p=4は素数じゃないのだが,一応説明の為に今入れてある. これをよくみると,下記で色分けしたように必ず同じ値になる青い領域と黄色い領域がある.

http://tessy.org/wiki/index.php?plugin=attach&pcmd=open&refer=%A4%DE%A4%C9%A4%AB%A1%F9%A5%DE%A5%AE%A5%AB%C2%E810%CF%C3%A1%D6%A4%E2%A4%A6%C3%AF%A4%CB%A4%E2%CD%EA%A4%E9%A4%CA%A4%A4%A1%D7&file=equation-10.png

さて,黄色と青い領域はキャンセルしあうので,問題はピンクの領域の項がpで割り切れるかどうか,である. 実際見てみると,図中のピンクの領域の項で,pで割り切れない項は*2無い.

今度は,ピンクの領域の項がpで割り切れるか検証する.二項展開(二項定理とも言う)の項の係数は以下の数式で一般化される.

{}_pC_k =\frac{p!}{(p-k)!}\frac{1}{k!}

ただしkはその数式中の何番目の項かを表し,0\le k \lepである.
ただ,今回は前述の通り,最初と最後の項に関しては無関係なので(1\le k \le p-1)となる

ここまで来たら証明1と同じ.分母にpが現れず,分子のpが消えないので,各項ともpの倍数になる.
よって

(1+n)^p -n^p -1=pm
(ただしpは素数,mは任意の自然数)

が成り立つ.これにより,(1+n)^p -n^p -1pで割り切れることが証明された.

問題2

f(x)=\frac{4x+\sqrt{4x^2-1}}{\sqrt{2x+1}+\sqrt{2x-1}}とする.この時

f(1)+f(2)+f(3)+\cdots +f(60)を求めよ

同じく一瞬だけホワイトボードに映る問題. こっちは実は1話でほむらが解いており,そちらを参考に解いた.

解法

a_n=\sqrt{2n-1}と置く.この時,以下のようになる.

a_{n+1}\cdot a_n=\sqrt{2n+1}\sqrt{2n-1}=\sqrt{4n^2-1}

a_{n+1}^2+a_n^2=2n+1+2n-1=4n

a_{n+1}^2-a_n^2=2n+1-2n-1=2

上述の式を用いて問題文を変形する.

f(n)=\frac{4n+\sqrt{4n^2-1}}{\sqrt{2n+1}+\sqrt{2n-1}}=\frac{a_{n+1}^2+a_n^2+a_{n+1}\cdot a_n}{a_{n+1}+a_n}

分子分母それぞれに(a_{n+1}-a_n)をかけて整理する

f(n)=\frac{(a_{n+1}-a_n)(a_{n+1}^2+a_n^2+a_{n+1}\cdot a_n)}{(a_{n+1}-a_n)(a_{n+1}+a_n)}=\frac{a_{n+1}^3+a_{n+1}^2a_n+a_{n+1}a_n^2-a_{n+1}^2a_n-a_{n+1}a_n^2-a_n^3}{a_{n+1}^2-a_n^2}
=\frac{a_{n+1}^3-a_n^3}{2}=-\frac{1}{2}a_n^3+\frac{1}{2}a_{n+1}^3

変形されたf(n)を用いて問題文を計算する.

f(1)+f(2)+f(3)+\cdots +f(60)=\left(-\frac{1}{2}a_1^3+\frac{1}{2}a_2^3\right)\quad +\left(-\frac{1}{2}a_2^3+\frac{1}{2}a_3^3\right)\quad +\left(-\frac{1}{2}a_3^3+\frac{1}{2}a_4^3\right)\quad +\cdots +\quad \left(-\frac{1}{2}a_{60}^3+\frac{1}{2}a_{61}^3\right)
=-\frac{1}{2}a_1^3+\frac{1}{2}a_{61}^3=-\frac{1}{2}\left(\sqrt{2-1}\right)^3+\left(\frac{1}{2}\sqrt{2\cdot 61 - 1}\right)^3=\frac{1}{2}(\sqrt{121}^3-1)=\frac{1}{2}(1331-1)=665

答えは665.無限級数じゃなくて60で止まってるのはなんでなんだろうと思ったら,そういう事か.

コメント

  • 背景の一瞬のホワイトボードの数学を読みとくと,結構難しかったりする.
  • 二項定理は高校の範囲だったり,他にも東大入試問題を解いてたり,見滝原中学校恐るべしである.
  • j8takagiさんに指摘されるまで間違ってた回答を掲示していた.あちゃー

ジャンル:数学


*1 いきなり数式ばっかりというツッコミはスルーする方向で
*2 p=4の場合を除いて

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Last-modified: 2011-12-19 (月) 18:09:04 (2167d)